掲載日: 文章:阿佐 智

メキシコ野球を追う – 第2回 -メキシコ野球の栄光の跡、デルタパーク

流浪の旅を始めるディアブロスとティグレス

 私は、この昔の映画に出てくる古き良き時代のメジャーリーグの球場を思わせるパルケ・セグロ・ソシアルが好きだった。いかめしい鉄骨に支えられた二層式のスタンドにゆったりとしたこれまた鉄製の座席。少し奮発してネット裏のボックス席に座ったら、見事な晴天に照らされたその鉄の座席が熱くなってやけどしそうにもなったが、それも今はいい思い出だ。

 政府傘下の社会保険公社の持ち物であったこの球場を、ディアブロスとティグレスのオーナーが買い取る計画が頓挫すると、公社は別の資本にこの球場を売却、市の中心ソカロから数キロの立地に目を付けた新オーナーは、この歴史ある球場を取り壊してしまった。2000年、両チームは、市街からさらに離れたサーキット内の屋外コンサート場、フォロ・ソルに人工芝を敷いて野球をすることにした。ちなみにここでは2006年WBCのファーストラウンドが実施されている。

フォロソル

 時は流れ、いつの間にか、この国では野球はサッカーやプロレスに次ぐ、2番手、3番手の存在になってしまった。人気のサッカーチームを複数抱える首都で2つのプロ野球チームを抱えるのは難しいと判断したティグレスのオーナー、ペラルタ一族は、フォロ・ソルをディアブロスと2シーズン共有した後、この来日したこともある名門球団を200キロほど南のプエブラに移した。しかし、ここにもすでにペリーコス(バロッツ)という老舗球団があったことから、2006年、ランゴステロス(ロブスターズ)が去って空き家になっていた南部ユカタン半島のカンクンに再移転する。

現球場フライナノ

首都に残ったリーグ制覇最多の16回を誇るディアブロスは、一昨年、決して野球向けでないフォロソルを出ることにし、新球場を建設することにした。そして、昨年からフォロソルの隣の公園の一角にあるアマチュア用の小さな球場、フライ・ナノを借り住まいとし、今シーズンを地区8チーム中5位で終わりプレーオフ出場を逃している。

キーワード

新着記事