掲載日: 文章:阿佐 智

2016年シーズン観客動員からNPBファームを考える1:ヤクルト編 

 先日、オリックスが大阪・舞洲にできた寮やサブグラウンドなどのファーム施設の概要を発表した。ファームの公式戦は、従来からあるメイン球場で行われるようだが、練習専用のサブグラウンドには、ファンと選手とが交流できるスペースをつくるという。この球団は、ここ数年、ファーム公式戦を大阪府内を中心に関西圏の各地で実施し、ファン層の拡大に努めている。昨年は、ソフトバンクが筑後市にファーム専用球場を移転させ、興業的にも大成功を収めている。日本でも遅ればせながらようやくファームをビジネスのコンテンツにしようという動きがおこっているようだ。そのような動きを踏まえて、各球団のファーム事情について紹介していく。

決して低くはないNPBファームの観客動員

 日本のプロ野球、NPBのファームの観客動員をまとめたのが下の表である。

NPBのファーム観客動員数
球団 試合数 総動員数 1試合平均
ソフトバンク 55 116,643 2,121
巨人 56 98,487 1,759
阪神 58 98,522 1,699
日本ハム 59 78,190 1,325
広島 53 69,038 1,303
中日 54 63,449 1,175
楽天 51 56,690 1,112
DeNA 62 66,611 1,074
オリックス 60 43,251 721
ロッテ 63 37,405 594
西武 59 34,228 580
ヤクルト 60 15,339 256
二軍総計 690 777,853 1,127
ソフトバンク3軍 14 10,501 750

 2軍全体では、1試合平均1127人。海の向こう、メジャーの「2軍」にあたる3Aの平均が6675人であるから、まだまだ集客のコンテンツとしてのファームの利用には大きな差があることがわかる。NPB2軍の平均は、マイナーでいうと、最下層のアドバンスルーキー級の1558人にも及ばない。興行的にまずまずの成功を収めている4大独立リーグに目を移して、その最低はカナダとアメリカ東部に展開されるカンナムリーグの2248人であることを考えると、NPB2軍の集客力は、いまだ単体で事業を成り立たせるには至っていないレベルであると言える。

 ただ、日本の場合、そもそもファームのゲームを興業としてとらえようとしていない球団もあるので、12球団の中でも観客動員の差が非常に大きい。昨年、新球場に移転したソフトバンクは1試合2000人を超えるファンをスタンドに集めている一方、最下位のヤクルトは256人と日本の独立リーグの約半分である。ファームを集客のコンテンツと考えていない球団は、公式戦も無料開放している。アメリカで言えば、マイナー最下層のルーキー級は、アリゾナ、フロリダのキャンプ施設で公式戦を消化し、観客からは入場料も徴収しない。このクラスでは通常観客は10名そこそこで、それを思えば、ベンチもろくに整っていない球場に3ケタの客が集まる日本の野球ファンは熱心ということもできる。

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