掲載日: 文章:阿佐 智

2016年シーズン観客動員からNPBファームを考える4:埼玉西武編

 現在、2軍の運営に関して、ホーム球場で入場料を徴収していないのは、阪神、千葉ロッテ、埼玉西武の3球団である。このうち、前回紹介した阪神は、その絶大な人気ゆえ、無料のホームゲームも、1軍本拠地や地方球場での有料試合もほぼすべて大入りという観客動員力を果たしているが、関東の2球団は、1試合平均の動員数が500人台と2軍がほとんど観戦の対象にはなっていない。今回はこの内、総動員数3万4228人、1試合平均580人で12球団中11位の埼玉西武を取り上げる。

球団創設以来変わらない1軍と2軍が一体化した施設

 福岡にあったクラウンライター・ライオンズを買い取り、埼玉・所沢に西武球団が誕生したのは、もう40年ちかく前のことになる。狭山丘陵を掘り下げて建設した西武ライオンズ球場(現西武プリンスドーム)は他球団がうらやむ当時最新鋭の「夢の球場」だった。この1軍本拠地に隣接して、練習施設、2軍本拠地として建てられたのが、第2、第3球場だった(第3球場は現在とりこわし)。メイン球場に付属するかたちでサブ球場が配置されるこのかたちは、メジャーリーグのスプリングトレーニングの施設を思い起こされるものだが、これは、球団創設初のキャンプをフロリダ州ブラデントンにあるピッツバーグ・パイレーツの施設で行ったことと無関係ではあるまい。

 かつての西鉄時代は、ウェスタンリーグのチームが関西に集まっていたこともあり、2軍は大阪に拠点を置いていたこともあったらしいが、2軍の状況が1軍首脳陣にも手に取るようにしてわかる、1軍2軍が一体化した練習環境の下、徹底して鍛え上げられた選手たちはやがて1980年代の黄金時代を支える主力となっていった。

 そういう歴史を振り返ると、この球団にとって2軍はあくまで育成の場で、集客のコンテンツという考えは希薄だったことは容易に想像できる。西武第2球場には、観戦のための施設は充実しているとは言い難い。そのせいもあってか、イースタンリーグの公式戦は300人も入ればいいほうで、昨シーズンはふたケタしか来場者がいなかった試合もあった。2軍の主催ゲーム59試合の総動員数は、3万4228人で、1軍の本拠、西武プリンスドームが満員御礼となれば1試合で達成できるほどの数字である。

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