掲載日: 文章:阿佐 智

2016年シーズン観客動員からNPBファームを考える6:中日編

これまで、日本のプロ野球・NPBが、ファームチームを収益のコンテンツとしてなかなか利用しきれていないことを指摘してきた。そういう中、ファームの採算化という点で最も力を入れているのが中日ドラゴンズである。

地域密着型という優位性

ナゴヤ球場

 日本において、二軍をアメリカのマイナーリーグのように独自のフランチャイズ都市で展開させるという運営は、いまだ成功していないと言える。過去には、横浜ベイスターズの二軍が湘南シーレックスと名乗り横須賀市をフランチャイズに、オリックス・ブルーウェーブの二軍がサーパス神戸と名乗り一軍のフランチャイズのある神戸市北郊の球場をホーム球場として運営されたが、結局この試みは成功したとは言えなかった。アメリカのように地方都市の独自性がない日本では、マイナーチームにファンがつくことは難しいのだろう。

 逆に、地域密着度の強い球団のフランチャイズ地域では、二軍の集客力も強い。すでに挙げた阪神などはその典型だろう。地元球団に対する愛着は、まだ未熟な若い選手の様子を見たいというファン層を育てるのだ。

 その意味では、中日球団はそのファン層をファームファンとしてしっかりと取り込んでいると言える。
 現在、中日の二軍は、以前の一軍の本拠地球場、ナゴヤ球場をフランチャイズとしている。かつて、3万5000人の収容があったスタンドは、外野席を取り払われ、内野席もコンパクトに修築されて4500人の規模に縮小されている。その分、フィールドをナゴヤドームと同じ広さにし、育成に適した環境としている。隣接する寮や室内練習場とともに、若手育成の「虎の穴」としてナゴヤ球場は生まれ変わったのだ。

 その点では、阪神球団と類似しているのだが、中日球団は、二軍戦でもきっちりと入場料を徴収しているところに大きな違いがある。その姿勢は徹底しており、この球団の場合、「教育リーグ」と呼ばれる二軍のオープン戦であっても、ナゴヤ球場では試合興行として、チケットの販売を行なうこともあるほどだ。二軍であってもプロなのだから当然と言えば当然だが、海の向こうのアメリカでもさすがにファームのオープン戦までに料金を取る例は、開幕直前の親子ゲーム(マイナーがメジャー球団をフランチャイズに向かえて行う試合)を除けばない。

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