掲載日: 文章:阿佐 智

宮城から東北のチームへ 地域密着型球団経営のさきがけ楽天イーグルス – 2016年観客動員から考えるNPBファーム:9

 1軍のペナントレースに先駆けて、すでに2軍のウェスタン、イースタンリーグは開幕している。近年は若手の有望株を間近で見ることができるファームの人気も高まり、休日ともなると2軍のゲームが行われる球場も多くの観客で埋まるようになった。球団の方も、ファームの試合をファンの拡大のツールととらえ、自球団のフランチャイズ地域周辺各地で試合を組むようになってきている。

 球団創設から12年、仙台を本拠とし、地域密着型球団経営のさきがけとして、東北地方全体を商圏としてとりこむ努力を続けてきた楽天ゴールデンイーグルスのファームについて今回は取り上げたい。

東北地方に根付くツールとしてのファーム


 2016年シーズン、12球団中7位の観客動員を記録したのは楽天だった。主催51試合で総動員数5万6690人、1試合平均で1112人を動員した。この球団は2軍戦でもしっかりチケットを販売しているので、ある程度収益を出す方向でファーム運営をしていると言える。

 そして単に収益のコンテンツとしてではなく、新興球団の地域密着の先鋒としてもこの球団はファームを利用しようとしている。

 周知のとおり楽天球団は、2004年の「球界再編騒動」を経て、翌年に新球団として発足した。その新球団が本拠として指名したのは宮城県仙台市。過去にフランチャイズ球場を失ったロッテ球団が、暫定フランチャイズとして宮城球場で主催試合の半分ほどを行ったことはあるが、本格的にプロ野球球団が腰を据えるのは初めてのことだった。楽天球団は、東北第一の都市仙台を本拠とするだけでなく、プロ野球にとって処女地といっていい東北地方全体を商圏とすべく、1軍の公式戦をできるかぎり東北各県で実施することにし、ファームについては、仙台市内に適当な球場がなかったこともあり、隣県の山形を本拠とし、山形県野球場(現荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがた)と天童市野球場でもっぱら試合を開催していた。しかし、宮城県内の寮からの選手の移動などの問題もあり、現在は仙台からほど近い宮城県内の利府球場をホームとしている。

こちらの記事も読まれています

新着記事