掲載日: 文章:阿佐 智

本拠を大阪へ さらなる地域密着を目指すオリックス – 2016年観客動員から考えるNPBファーム:10

今シーズン、NPBの新球場が開場したのをご存じだろうか。と言ってもほとんど報じられていないのは、それが2軍の球場だからである。舞洲第2球場と名付けられたその小さなスタジアムは、今シーズン神戸から移転したオリックス・バファローズの練習場兼、2軍のメイン球場なのである。移転当初の計画では、隣接する既存施設、舞洲スタジアムを使うとのことだったが、2軍の試合には大きすぎるスタンドと高校野球などのアマチュアとの兼ね合いからオリックス2軍はこの第2球場をもっぱら使うようである。この新球場の定員は500人。ウェスタンリーグの初試合ではスタンドは札止めとなった。

ファームの独立化からはや17年

 西武編でも述べたが、日本のプロ野球の歴史において2軍の運営を独立させようとした試みは過去2度行われている。1度目はまだ戦後間もないころのセ・リーグ球団による「新日本リーグ」の試み、2度目は2000年代の横浜、オリックス、西武の3球団によるものである。このとき、オリックスは2軍運営について、大手マンションデベロッパーをスポンサーに迎え、チーム名をサーパス神戸とし、独自のユニフォームをつくり、本拠地球場も神戸市北東郊外のあじさいスタジアム北神戸に定め、地域密着型のチーム運営を目指した。この試みは、途中スポンサーの撤退なども取りざたされながらも、2008年まで続いたが、結局9年で頓挫した。

 2軍選手の多くが住まう選手寮が同じ神戸市内でも市西部の1軍本拠近くにあり移動の負担があること、それに、そもそも1軍本拠の神戸総合運動公園には元来2軍が本拠としていた第2球場もあり、わざわざ北神戸を使用する必然性はなかったこと、その北神戸球場がアクセスしにくい場所にあり、観客動員をあまり期待できないことなどがその原因として考えられる。

 あじさいスタジアム北神戸は確かにアメリカのマイナーチームの球場を彷彿とさせるようなこじんまりとしたファームの本拠としてふさわしい器で、ゴールデンウィークや夏休みの花火イベントの日にはそれなりの集客を誇っていたが、やはり一定数以上の地元の固定ファンを獲得するには至らず、移転当初は営業していた売店も年々その営業を縮小するなど、集客に苦戦していたのは明らかだった。サーパスは、早すぎる実験だったのかもしれない。

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