掲載日: 文章:阿佐 智

若い選手の成長を見守るカープ愛 – 2016年観客動員から考えるNPBファーム:12

若い選手の成長を見守るカープ愛 – 2016年観客動員から考えるNPBファーム:12
photo by 阿佐 智(広島東洋カープ由宇練習場)

 昨年四半世紀ぶりの優勝で、球界にブームを巻き起こした広島東洋カープ。今や「カープ女子」からの支持もありその人気は全国区となったが、やはりこの球団の本質は地域密着にある。地域密着球団度の高い球団はおおむね2軍の観客動員も好調だが、このチームもそのご多聞に漏れず、12球団中5位の1試合平均1303人を昨シーズンに記録した。しかし、驚くなかれ、こと有料試合に限って言えば、首位のソフトバンクを大きく上回る1試合で3713人を記録している。

ファームも大人気、カープファンは2軍選手も見守っている

 
山口県岩国市由宇町。1軍の本拠、マツダスタジアムから70キロのところにカープの2軍のホーム球場はある。ここでカープ2軍はウィスタンリーグのほとんどの公式戦をこなす。「広島カープ由宇練習場」の名の通り、集客を目的とはしていない。なにしろ車でならともかく、公共の交通手段でアクセスするなら、広島から1時間以上電車に乗り、バスでひたすら山奥に進んでようやく到着という道程を行かねばならない。

 バスを降りてさらに坂道を登ってようやく球場にたどり着くのだが、実際足を運んでみると、そのほとんどはマイカー利用ではあるものの、かなりの人数がこの球場に観戦に来る。バスに乗ってやってくるファンも少なくはない。彼らの目的は、まだ未熟な若い選手の成長を見ることになる。芝生席に腰掛けながら、熱い声援を送るカープファンの姿を見ると、この球団のファンのカープ愛の強さを感じずにはおられない。

 よほどの野球好きでないとこんなところまで2軍の試合など見には行かないと思われるこの球場なのだが、やはり地元では絶大な人気を誇るカープ、この辺鄙な球場に、45試合で3万9331人、1試合平均にして874人を動員している。夏場ともなると、3000人近い観衆を集めるほどの人気なのだが、一方で平日のデーゲームなどでは、118人という日もあり、やはりここで試合興業というのは難しいと球団は考えているのだろう。それを裏付けるように、カープ球団は由宇でのウェスタンリーグ公式戦には入場料を徴収していない。すでに述べた阪神などと同じように、ファンサービスとしてファームの公式戦をとらえてるのだろう。

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